1.誘  導(手引き)

 視覚障害は、情報のハンディを生みますが行動の自由も奪います。自分がどこの空間のどの位置にいるか、自ら知る手だてを失ってしまいます。ですから、移動することに大変な不自由をします。そこで、公的にはガイドヘルパー制度が設けられています。けれども、出かける場所や回数、時間に制約があったりして、この制度が使えないこともあります。

 毎年、鉄道のホームから転落して大怪我をしたり、命を失う人が出ています。一人歩きをして楽しみたいというときもあるかもしれませんが、人が誘導するのが一番安全です。ひと声、「ごいっしょしましょうか?」と言葉をかけてあげてください。障害者団体、グループでハイキングやレクリエーションの企画を立てたりします。そんなとき一対一で誘導する人を求めています。ちょっとした配慮でできることですから、積極的に参加してください。誘導のコツは、その人より半歩前を普通のとおり歩くことです。杖をつかんだり、後ろから抱え込むような誘導はダメです。

2.サークル活動援助

 料理やウォーキング、パソコン、音楽バンドなどさまざまなサークルが作られています。多くのサークルが「目」を必要としています。音楽バンドでは、楽器移動の運転手や発表会のチラシ作りなど人材を求めています。自分の趣味が同じであれば、そういうサークルに参加して手伝ってください。施設・団体によっては多くのボランティアの力を結集して組織だった援助をしているところもあります。

 この活動で共通していることは、「主役は視覚障害者」です。料理の手伝いの人が手早く手伝ってしまっては、何のための教室に参加したのかわかりません。「見えないこと」は気の毒な何もできないことではありません。この種のお手伝いは「目の代わり」をするだけにとどめましょう。「親切心」が不幸な結果を招くこともあります。どこまでが「目の代わり」なのか、その場その場で考えねばなりません。先輩がいたら、その体験を聞くことがいい勉強になります。

3.デジタル関連の活動

 録音の方法やユーザーに提供する情報の形、方法に変化があるこの時期、さまざまな分野・形で活動が行われるようになることでしょう。

 アナログのカセットテープの時代では、イレースやプリント、モニターといった縁の下の力持ち的活動もありました。音訳するだけではなく校正、編集の活動もありました。これは一途にカセットによる録音図書・テープ雑誌の提供を前提にしていました。それがいま、大幅に変わろうとしています。図書の内容は娯楽中心から仕事・学業の領域に移ることでしょう。アナログのテープよりも必要なところが比較的探しやすい点字図書を求めていたユーザーが、デジタルの録音図書を求める可能性があるからです。当然ながら、「本を作る」という感覚から「求めに応じる」ような個別ニーズに即した製作システムが必要とされるようになってくることでしょう。